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総務省、PLC型式指定を18機種取消!

JA1IDY 青山貞一 (武蔵工業大学教授)
出典:月刊ファイブナイン誌2008年11月号 巻頭言「ハムの目」

 この秋はPLC行政訴訟の控訴審が10月15日東京高裁で、又、電波管理審議会における異議申し立て審理が10月23日に開催される。既に国側準備書面に反論するための準備書面や証拠としての各種実験の提出準備も整っている。

 そんな中、総務省が型式指定し、市場に出回っているPLCモデムに対し、10月4日付けの官報(第4681号)で型式指定を取り消していたことが分かった。「広帯域電力線搬送通信設備の型式の指定を取り消した件」(総務省告示第558号)である。

 取り消されたのは、先の原告団による千葉県成田市での受信障害実験で甚大な影響をもたらしていることが分かったロジテック社のLPL-TXはじめ、三菱電機の5種、ネットギアインターナショナル日本支社の1種、ネッツエスアイ東洋の11種、合計18種である。青天の霹靂、前代未聞のことである。

 なぜ、総務省がひとたび型式指定したPLCモデムの指定を取り消したのか、理由は今のところ定かではない。しかし、コンセントに接続しただけで凄い騒音を発するロジテック社製品が取り消しの筆頭にあることからも、常識的に考えれば、電流規制値を超えていた、著しい受信障害をもたらす漏洩電界が環境騒音を大きく超えていたなど、技術的欠陥があったことは想像に難くない。

 ひょっとしたらメーカーが提出したデータに虚偽があり自主的に取り下げた可能性もないとはいえない。原告らが行い公開している各種実験結果を見て、総務省が異議申し立てや裁判での影響を逃れるため、慌てて取り消したのかも知れない。

 今回の件で分かったことは、総務省がメーカーが申請してきたPLCモデムをいわゆるカタログ値だけで安易に受理し、型式指定していたことであり、個別具体にチェックしていなかったことであろう。

 いずれにしても総務省は拙速、稚拙に省令改正し、製品テストもせず型式指定していたのであり、取り消しは総務省官僚らの姑息なドロナワ対応としかいいようもない。

 既に各地で売られ使用されている製品を半年以上経って型式指定の取り消しを行えば、どうなるか。総務省は製品回収の行政命令を出すべきである。既に出回った製品を不問に付すではすまない。トンデモ製品を買わされた消費者がメーカーに損害賠償、国に国家賠償訴訟を集団で起こすことだって有り得る。

 今回の公判や審議直前での取り消し処分は、PLCが短波通信にもたらす悪影響について徹底的、実証的に追求してきたアマチュア無線家と原告・弁護団それに継続的支援を惜しまない学者らの中間的な成果であり、一部ではあったとしても実質勝訴であると思う。

 10月23日の異議申し立て審理後、原告団の国に対する反論を纏めた準備書面を公式Web(http//plcsuit.jp/)で公開するので是非お読み頂きたい。