PLC実地測定についてのリポート


                    草野 利一

●初日


 2010年11月15日(月)、神奈川県横須賀市の丘陵地にあるYRP(Yokosuka Radio Park)という研究団地で電波監理審議会による実地測定が行われました。ここは国側が実地測定を希望した場所です。

 この場所は丘陵地帯にあり、周囲に民家は殆ど無く、一見するとノイズの少なそうな場所です。ところが実際には周囲雑音レベルの非常に高い場所であることが分かりました。おそらくNTT、パナソニック等の研究施設が多数建っていて、そこには各種の電気設備、電子機器が無数に稼働していますので、それら機器やインバーターからの雑音電波が放射されているかでしょう。ビルの壁に短波ラジオを近づけるとジャーというノイズが短波帯全域に渡って出ています。写真をご覧ください。

 測定業者は入札でザクタテクノロジーコーポレーションに決まり、鑑定人の指揮の下で実施されました。測定項目は、周囲雑音強度、PLC機器からの漏洩電界強度、コモンモード及びディファレンシャルモード電流。これらの項目を方式の異なる3社のPLC機器、測定アンテナはループ及びモノポールの2種で測定されます。

 議申立人、国、メーカーから各々立ち会い人が参加しましたが、ビデオ等の記録機器は一切持ち込まないこと、あくまで測定の様子を目視してメモ書きする程度と制限されています。

 じゃまにならない程度の遠くから測定風景を撮りました。画面には見えませんが左側に測定車が配置されています。右に少し見えるのが実験用のプレハブ家屋です。ここにPLCモデムがセットされ、外壁から10m離れた場所に測定アンテナが置かれています。アンテナは直径60cm位のループアンテナで、もう一つ1m位のホイップアンテンナが使われました。

 測定器を見ていると、周囲雑音は非常に高く、かなりのアッテネーターを挿入しない測定が難しい状況です。2階建ての実験用家屋に設置されたPLCモデムからの漏洩電界強度は50dBを超えるノイズがバッチリ出ているようでした。記録機材は使えないので、スペアナのモニター画面やデータ、EMC受信機の各種設定、使用アッテネーターなどメモしていきました。

 測定業者は屋外での短波帯での実地測定の経験は殆どしたことがないのでしょう、測定に手間取り、夜10時まで掛かったとのことでした。北風が吹く屋外での測定で震え上がり、我々は夕方5時30分で立ち会いを止めて帰宅しました。


横須賀YRPの敷地内で短波ラジオを使って
雑音をモニタするJA2GXU(左)、JA1ELY(右)


横須賀市YRPでの測定の様子。右側の家屋に
PLCモデムを設置している


●2日目

 11月17日(水)、横浜市金沢区にある住宅団地で電波監理審議会による実地測定が行われました。ここは我々異議申立人側が希望した場所で、典型的な郊外にある戸建ての住宅団地です。あるアマチュア局のご協力を頂きました。

 この日も天候は良くなく、時々雨がぱらつく状態でしたが、業者が測定に慣れたせいで順調に進み、定刻19時でコモンモード電流、ディファレンシャルモード電流を含む全ての測定を終了しました。

 この場所は協力者が我が家はノイズは少ないですよと言うだけあって、14メガでフルゲインで受信機を動作させたところSメーターは1〜2位しか振りません。
横須賀YRPでの測定では家屋からのPLC漏洩電界はかなり強いレベルでしたが、ここでの測定では全体的にYRPより多少低くなっていました。家屋内のAC配線やスイッチの個数等の違いによるものかもしれません。

 2日間の測定により、全ての市販のPLCモデムからは間違いなく強い漏洩ノイズ電波が出ていることを確認、数値データとして測定されました。このデータは裁判で証拠として採用されるもので、極めて重要な検証作業となります。


横浜市金沢区での測定の様子

 以上簡単ですがお知らせいたします。

PLC行政訴訟事務局
JA1ELY 草野利一