ついに申立人と国による
      実地測定が実現!


 
                 青山貞一 JA1IDY
                 東京都市大学教授

 2006年12月、アマチュア無線家115名が東京地裁にPLC行政訴訟を起こし早3年半が経過した。この間提出された準備書面は、電波審議会審理だけでも、申立人側が13本、国側が21本もある。申立人が提出した証拠は実に160本に及んでいる。

 当初、容易に決着が着くと考えていた国はうろたえている。うろたえる最大の理由は、申立人自らが膨大な実験を行い証拠提出し陳述したからである。申立人が行った実験場所は成田、佐倉、三浦、須賀、裾野、牧野原、嬬恋村など各地に及んでいる。そこでPLC漏洩電界測定や受信障害実験をしてきた。

 他方、国はと言えば電波法省令改正に際しCISPR委員会が横須賀、日立、北本、三浦で行った実験データだけである。しかも実務は関連業者に丸なげだ。横須賀はYRPという国や関連メーカーの影響下にある施設である。

 申立人が国の実験データを分析したところ実験場所はどれもDXサーにとって重要な周囲雑音のレベルがかなり高く、PLC漏洩電界による影響が過小評価されていることも分かった。

 また実験で使われたスペアナは、CISPRのいわゆるITU-Rの周囲雑音レベルを測定する能力をもちあわせていない。測定限界が高いことも分かった。PLC漏洩電界の影響は、周囲雑音レベルが高い市街地よりも農村や田園部など周囲雑音が低い地域において著しい。したがってYRPなどでの実験はことの初めから論外であったのである。

 申立人は、主任審理官に対して早期段階から「共同実験」を提案していた。それを受け昨秋、主任審理官は職権により「PLC機器の実地測定」を行うことを双方に提案していた。

 だが、実験場所が横須賀YRP一か所であったことに加え、測定の方法や機器、アンテナなど多くの疑義があった。申立人はこれらを指摘したが総務省は実験業務の入札を強行した。結果は案の定、入札は不調に終わり振り出しに戻った。

 この8月5日、異議申立審理があり、先に主任審理官から新たに提案されていた「PLC実地測定の実験計画(案)」とそれに基く業務仕様書(案)について議論した。

 本案でも測定機器やアンテナなどに課題が残っているが、申立人が提案していた実験場所が加わるなど前進もあった。5日の審理では鑑定人候補である舟木阪大院教授が宣誓を行った。そして申立人が質問を行い技術的適格性、公平性について検討した。

 実施測定の詳細は次号に譲るが、国側の強い反対のなか紆余曲折の末、実地測定を行うところまで来たことは事実である。実験は早ければ秋、遅くとも年度内に行うことになる。

 初出;月刊ファイブナイン  2010年9月号