東京高裁控訴審、第5回目公判報告


                        原告団長 草野 利一


 高裁での公判状況を報告いたします。第4回公判の後、裁判長より論点整理のために進行協議を行いたいということで、平成26年12月4日に第1回として、平成27年2月27日に第2回、平成27年5月15日に第3回の進行協議が行われました。この協議は正式な公判ではなく、裁判所、原告、被告の三者がラウンドテーブルで話し合うもので裁判長が事件の問題点を原告、被告双方から聴取することにあります。

 裁判長より本件訴訟では「実質的証拠の法則」が適用されると説明がありました。これは、本来、裁判での証拠認定作業は裁判所が行なうのですが、公正取引委員会のような専門の独立行政機関が取り扱った結論に対する訴訟では、裁判所はその機関が認定した証拠を採用し、裁判所は新たな証拠の認定作業を行わないというルールです。

 本件訴訟は電波監理審議会が認定した証拠に基づき総務大臣が行った裁定の取り消しを求めているのですから、裁判所としては基本的にこの原則に従わざるを得ない。つまり高裁自身が自由に証拠を認定して、それに基づいて決定に至った審議会の判断の適否を審理することはできないということです。裁判所ができることは、証拠認定手続きに誤りがあったかないかのみを審理するだけでというのです。それゆえ弁護団は、舟木鑑定人の作成したPLC実験報告書(鑑定書)に対する原告及び被告双方の尋問という証拠認定上の手続きを経ていないので、証拠として不適であると準備書面で指摘しています。

 そして裁判長は原告の準備書面3を見ると技術基準がその上位規範である電波法100条1項による委任の範囲を逸脱していると主張している点に若干関心を持ったと述べたのです。この"若干"というのは微妙な言葉つかいですが、今までの北風ばかりではなく少し南風が吹いたような感じを持ちました。

 すなわち裁判長は、電波監理審議会が認定した事実については実質的証拠の法則が働くが、法令の適法性審査に対しても果たして実質的証拠の法則が働くのかどうかという"問題意識を若干持っている"と述べました。その上で裁判長より、原告準備書面3が原告らの主張の骨子であるとのことなので、被告(国)は裁判所が持つ問題意識を踏まえて、これについての反論をお願いしたい。また原告の方も審議会での既に出されている事実に基づく主張であるのか、それとも何か新しの事実に認定を求めるものであるのかもう一度整理し直して、委任の範囲を逸脱しているという主張に対し裁判所が持つ問題意識についても見解を伺いたいと述べました。

 高裁においては原審(電波監理審議会への異議申立)で採用された証拠以外の新たな証拠の提出はできません。PLCのノイズ状況を実験している原審証拠を使って裁判長にPLCの実情を知って貰うための説明(プレゼンテーション)を実施させてほしいと申し入れていますが、裁判長からは検討しますという曖昧な回答がありました。

 第2回、第3回の協議において我々はPLC技術基準がその上位規範である電波法100条1項による委任の範囲を逸脱していると、国際規格であるCISPR22の基準やVCCIの基準を比較して論理を展開しました。我が国のPLC技術基準は回路に流れる電流値を電源ポート、通信ポートで恣意的に使い分けしていて、国側の反論を見て裁判長はPLCの技術基準を作成した時点においては矛盾は無かったのではないかというような印象を持ったようです。

 国際的なPLCの技術基準はまだ決定しておりませんが、年内にはたたき台になる一定の基準が決まる模様です。おそらく日本案よりは厳しいものになると思われます。

 第1回、2回、第3回の進行協議で提出された原告、被告双方の準備書面を公開致します。ご覧ください。なお次回進行協議は平成27年9月1日開催です。

PLC行政訴訟事務局
JA1ELY 草野利一